第21章 Psalm 121:1-3
帰りの車内、西島は無言だった。
これからどうやって翔の治療をするか考えているようだった。
翔は寝たり起きたりしてるが、後部座席で大人しく横になってる。
今すぐどうこうと言うような所見はなかったということで、心底安心したが…この先どのくらい治療に時間がかかるのか。
西島の言う通りなら、道は険しそうだ。
雅紀にどんな風に報告するか、和也にどんな風に説明するのか。考えたら気が遠くなりそうだった。
でも、やるしかない。
俺に翔しかいないように、
翔には俺しかいないんだから──
「智」
「ん?」
家の近くまできたところで、西島が話しかけてきた。
「しばらくあの部屋で暮らすのか?」
「ああ。そうしようと思ってる」
「わかった。しばらくは俺が仕事の合間に行くようにするから」
「いいのか?あんたの部屋まで連れて行くことはできるけど」
「今の状態なら動かさないほうがいい。通いにしてもらうタイミングはこちらで指示する」
「わかった。ありがとう」
礼を言うと、西島は少し笑った。
「櫻井のことになると、素直なんだな」
「…なんだよ?」
「自分のことはとことん無頓着なのになあ」
なんだかよくわからないけど、西島は一人で納得してニタニタとしている。