第21章 Psalm 121:1-3
西島は前を向くと、脱力したように長椅子の背もたれに体を預けた。
「…わかった…」
しばらく黙って天井を見ていろいろと考えているようだった。
「西島先輩、いいですか?」
稲垣医師の声が診察室の方から聞こえた。
「ああ!今行く!」
西島はそう返事をすると立ち上がった。
俺も立ち上がると、西島は見下ろしてきた。
「死ぬ気で守れよ」
「ああ」
「よし。まずは検査だ」
一通りの検査が終わって、血液検査の結果が出る頃には夜中になっていた。
「すいません。手伝ってもらって…」
白衣を脱いで、稲垣医師はコーヒーを淹れてくれた。
「いえ…こちらこそ、ありがとうございます…その…急に、無理を言ってしまって…」
上手く喋ることができない俺を西島が笑って見ている。
「本当にすまない。稲垣」
「いえ。いいんです。お役に立ててよかった」
「助かったよ」
稲垣医師は微笑むと、ベッドに目を向けた。
診察室のベッドで翔は深く眠っているようだった。
「患者さんも異常はないようなので、一安心ですね」
「ああ…俺の専門領域だと確定したようだ」
「…そうですね。内科の僕にはとてもじゃないけど…」
「何いってんだよ」
西島は苦笑いするとコーヒーを啜った。