第21章 Psalm 121:1-3
西島と二人がかりで翔を車から降ろすと、翔を抱きかかえた。
裏口から薄暗い廊下に入ると、西島の後について診察室に翔を運んだ。
「すまんな。稲垣、こんな夜遅くに」
診察室の中は明るかった。
建物は木造の平屋で古いが手入れが行き届いていて、よく見ると少しリフォームもしてあるようで清潔だった。
診察室の左奥に机が置いてあって、その上にはパソコンやらモニターやらが載っている。
その後ろには診察用のベッドが置いてある。
奥にある出入り口のカーテンが揺れると、白衣を着てメガネを掛けた中年の医師が入ってきた。
「西島先輩の頼みなら断れませんよ」
稲垣という医師は、俺と翔を見て微笑んだ。
西島とはまたちがった色男だと思った。
細くて色白で、インテリっぽい雰囲気が漂っている。
一見冷たそうな顔をしているが、笑うと西島のように人の良さそうな顔になる。
思わず頭を下げると、にっこりと笑った。
「どうぞ。そちらのベッドに患者さんを寝かせてください」
翔をベッドに寝かせると、稲垣はベッドサイドに置いてある丸椅子に腰掛けた。
「では診察を始めます」
翔はぼんやりと天井を見上げている。
稲垣はいくつか翔に質問を投げかけているが、翔はあまり反応を示していなかった。
「とりあえず、先に血液検査をしましょうか」
「ああ。頼む」