第21章 Psalm 121:1-3
「ただ、人間は脆いけど…それでも強い。おまえなら、その意味がわかるだろ?」
わかるような…わからないような…
答えないでいると、西島は少し笑った気がする。
それきり車内にはカーラジオから聞こえる洋楽しか聞こえなくなった。
千葉との境目にある小さな駅のそばの診療所みたいな医者につく頃には、夜の9時頃になろうとしていた。
途中夕飯をテイクアウトして食べたから、少し時間がかかってしまった。
いいって言ったんだけど、西島がしつこく「こういうときは飯を食え」というから仕方なかった。
薄暗い裏口に車を停めると、西島は先に車を降りていった。
その間に翔を降ろす準備をしようと後部座席のドアを開けた。
「翔…」
驚くことに、翔は目を開けていた。
「起きてたのか」
しかしそれには答えず、気だるそうにこちらを見て目を閉じてしまった。
「ごめんな、体辛いだろうけどちょっと我慢してくれよ」
シートベルトを外すと、翔の体の下に腕を入れて上半身を起こした。
「翔?わかるか?」
「ん…」
また薄っすらと目を開けると、俺の顔を見て少しだけ微笑んだ。
「さと…し…」
「ああ」
ぎゅっと抱きしめると、安心するようだった。
「一緒に、居るからな」
「うん…」
そのまま少しの間待っていると、西島が後部座席のドアを開けた。
「よし。こっちに寄越してくれ」
「ああ」