第21章 Psalm 121:1-3
「こんばんは。私は西島っていいます。昔、精神科医をやっていました」
驚くほどきちんと自己紹介を西島はした。
俺にはこんな自己紹介したことなかった。
「オイ…あんた…」
人を見てるってことか?
「なんだよ?」
「…なんでもね」
翔を見ると、まだ不思議そうな顔をしている。
たぶんまだ夢だと思ってるんだ。
「にし…じま…?」
「そうです。あなたの名前は?言うことができますか?」
どこにそんな顔を隠していたのか、ちゃんと医者の顔をしている。
「櫻井…翔…です…」
「櫻井…」
西島は俺の顔を見た。
咄嗟に、目を逸らしてしまった。
「そう…櫻井さんね…」
西島はそっとベッドに近づくと、しゃがみ込んで翔の腕を取った。
手首を触ると、ゆっくりと顔を上げた。
「倒れたことは覚えていますか?」
「たおれた…?」
「覚えてないんですね」
なんのことだろうって顔をして、西島を見ている。
「ちょっと体を触ります。嫌だったら言ってください」
「はい…」
首や目を見て、いろいろと触りだした。
時々、ここは痛いか?痛むところはないか?などと聞いている。
翔もそれに頷いたり、首を振ったりしながら答えている。
「とても痩せているけど、ご飯食べてるのかな?」
「やせてる…?」
翔は自分の頬を手で触った。
「油断するとすぐ食べ忘れます…」
「そんなに普段は忙しいの?」
西島が聞くと、翔はちょっと混乱した。