第21章 Psalm 121:1-3
「…なんだよ?」
「いや…見たことない顔してるなと思って」
「はあ?」
「今までで一番人間臭い顔してる」
まただ。前にもこんなこと言われたのを思い出した。
でも意味がわからない。
「…生まれてこの方、人間じゃなかったことはないが?」
こいつは医者になるくらい頭のいいやつだから、時々何を言っているのかわからないことがある。
「ぶふぉっ…」
西島は吹き出すと、しばらくそのままの姿勢で固まっていた。
笑いを堪えてるらしい。
「なんだよ…?なにがおかしいんだ?」
「いや…待て…待って…ぶふぉっ…」
もう一度吹き出すと、今度は遠慮なくゲラゲラと笑い出した。
「もう…好きにしろや…」
西島は好きなだけ笑うと、涙を拭きながらやっと復旧してきた。
「あー、笑った…」
「楽しそうでなにより」
なんか前にもこんな会話したような気がする。
「そんな顔すんなよ」
西島はいい顔で笑うと、俺の頭をぐしゃっと撫でた。
「じゃ、見せてもらおうか」
舌打ちしたい気分だったが、仕方がない。
奥の部屋に西島を連れて行くと翔を起こした。
「…翔、起きろ」
肩を揺すっていると、翔は目を薄っすらと開けた。
「さと…し…?」
「ああ。医者が来たから、ちょっと見てもらおうな?」
「……」
「嫌か?」
「ううん…変な夢だなと思って…」
起きようとする背中に腕を回して体を起こすのを手伝った。
「この人…?」
「医者だよ」
そういうと不思議そうな顔をして俺を見た。