第21章 Psalm 121:1-3
それを聞いて安心したのか、翔はすぐに目を閉じた。
そのまま眠りに落ちるまではいくらも時間がかからなかった。
「翔…」
しばらくそのまま寝顔を見つめていたが、泣けてしょうがなかった。
「バカ…こんなになるまで…」
一体、なにがあったっていうんだ。
こんなになるまで痩せ細るほどのことが……
手を握ったまま寝顔を眺めた。
だけど、なにもわからなかった。
なにも。
「…ここは?」
リビングに入るなり、不躾に室内を眺め回しながら西島は聞いてきた。
「隠れ家」
「にしては、豪勢すぎるだろうが」
「…ほんとだよ…雅紀が持ってる物件なんだ」
信じたのか信じなかったのかはわからないが、西島はカウンターに手をつくと椅子に腰掛けた。
「で?患者はどこなんだよ」
「ああ…」
「言っておくが、俺は精神科以外は随分昔に初期研修しか受けてないんだからな?」
「わかってる…」
「いいのか?」
「でも、アンタしか思い浮かばなかった」
「……」
西島はぐしゃっと髪をかきあげると、口をへの字に曲げた。
「いいならいいけど?まずは手洗わせろ」
「ああ」
洗面所で手を洗いながら、西島は鏡越しにこっちをジロジロと観察しているようだった。