第21章 Psalm 121:1-3
「待って…どうして…?」
オロオロと俺と西島の顔を見比べている。
どんどん顔色が悪くなり、汗も噴き出してきた。
「どうしたんですか?櫻井さん」
「だって…先生…、俺は整形外科に勤めていて…忙しくて…だからご飯、食べ忘れて…でも智が…智は…」
「大野がどうかしたんですか?」
「だってっ…まだ俺は医者になってないはずなのにっ…」
「落ち着いて…櫻井さん。落ち着いてください。ゆっくりと息をして…」
西島は翔の背中に腕を回して、そっと擦った。
しばらく翔の荒くなってしまった呼吸を整えるため、部屋には沈黙が流れた。
「…落ち着きましたか?」
「はい…」
西島は少し黙って、翔にまた質問した。
「あなたは整形外科医なんですか?」
「はい……いえ……」
翔の答えは要領を得ないものだった。
「医師だから食生活が不規則だったということですか?」
「…わからない…」
翔はうつむいて自分の手をじっとみている。
俺や西島の顔は見ようとしなかった。
「そうですか…」
西島は俺を見上げた。
「……渋谷のTJ東京総合病院の整形外科に勤めてた」
「ああ…あそこは整形外科が強いもんな…」
聞こえているのかいないのか。
翔はなんの反応も示さなかった。