第20章 Romans5:3-4
今すぐにでもその扉から中に飛び込みたい。
いったいなにがあったんだって、問い詰めて。
それから思い切り抱きしめたい。
「…なに思ってんだ…」
そんなこと、できるはずもない。
もう翔の前には現れないと決めたじゃないか。
それが…翔のためなんだ…
唇を噛みしめると、カードキーをポケットから出した。
鍵穴にキーを差し込むと微かに解錠した音が聞こえた。
ドアノブを押し下げて引くとドアが開いた。
あたりを見回してから、ドアの内側に身を滑り込ませた。
玄関に入って自動で明かりが灯ると、違和感を感じた。
なんでかわからなかったが、玄関で靴を脱いで上がりこんでみてわかった。
あっちは玄関を入って右手に廊下が続いていたが、こっちの部屋は左手に廊下が伸びている。
ドアの配置からすると、翔の部屋とは左右対称になっているようだ。
なんだか胸がスースーするような感じがした。
これが一体なんなのかわからなかったけど、そのまま右手にあるLDKだと思われる部屋のドアを開けた。
思った通り、ドアを開けるとすぐにキッチンが見えた。
見渡すとリビングダイニングが翔の部屋と変わらない広さであるようだった。
電気をつけてみたら、殺風景になにもない部屋なのかと思っていたけど、そこには家具が一通り揃っていた。
「じいさん…まじで住む気でいたんじゃねえか…?」
それとも、雅紀が?
「…んなわけねえか」
一体何のためにそんなことするんだよ。