第19章 Epistle to the Galatians6:5-7
「じゃあ翔、看護師さんに指示出してきて貰える?」
「はい。準備はしてもらってますから、すぐできると思います」
「手回しいいね。じゃ生検もやってもらおうかな」
「はい。わかりました」
あらかじめ看護師さんには俺から伝えて、針生検(患部に針を差して腫瘍の組織を採取する検査)の準備はしてもらっていた。
院内携帯で知らせると、すぐに看護師さんが検査キット一式を乗せたワゴンを持って診察室に来てくれた。
「じゃ、始めますからね。櫻井がやりますから、能村さん痛かったら引っ叩いてやってね」
「ちょ、三宅先生」
「わかりました!引っ叩きます!」
「ちょ、能村さんまで」
外来の看護師と能村さんは顔見知りで、ふたりでケラケラと笑っている。
「ご存知かと思いますが、痛いと思うので叩かないでくださいね…」
「はぁい」
看護師さんと一緒に準備をして、採取キットで手早く患部から組織を取り出した。
「…能村さん?」
診察ベッドに寝転がったままで、能村さんは起き上がってこなかった。
「大丈夫ですか?」
「…結構…痛かった…」
「でしょうね」
能村さんの腫瘍は大きいから、結構深部まで針を入れて取ったから、痛かったはずだ。
患部に大きなガーゼを貼られて、その上から防水シールも貼られている。
「おわかりかと思いますが、今日はお風呂だめですよ。シャワーならいいです。お風呂は明日からにしてください」
「わかりました…」
「お風呂はシールを剥がさないでこのまま入ってくださいね」
看護師さんからいろいろと注意事項が説明されて、能村さんは真剣な顔をして聞いている。