第14章 1 Corinthians 13:4
潤は黙って名刺を俺に見せた。
「本田、翼さんって、これ…」
さっきの新聞記事に書いてあった名前だった。
「H・Tさんの名刺じゃないか。こんなのどこで手に入れたんだ」
「三鷹のご実家まで行って、頂いてきたんだ」
俯いている潤の表情は曇っている。
「まだ、ご実家には翼さんの遺影が飾ってあってな。まだ事件の犯人が捕まっていないから、娘の祭壇を片付けることはしないって。ご両親はそう仰っていたよ」
「娘さんって、女性なのか。てっきり男性かと…」
「ああ。とても、綺麗なひとだったよ」
そう言ってパソコンを操作すると、本田翼さんの写真を撮影した画像も見せてくれた。
爽やかな笑顔で髪を後ろでひとつに縛ってカメラを構えている。
きっと生きているときには、男が放って置かなかったんじゃないかと思うほど綺麗だった。
「この人が…」
潤は指を折ってなにかを数えている。
「まだ亡くなって4年…しか経ってない」
「4年…」
智が行方不明になって6年目にこの雑誌の記事は世にでたことになる。
「信じてたんだと思うよ。このひとも…大野智の無実を」
25歳で亡くなったということは、今は29歳だったはずだ。
智よりも1つ年上ということになる。
「接点、どっかにあったのかな…」
「ご両親も大野の家の事件は覚えていたんだが、直接のつきあいはなかったそうだ」
「そっか…」
「でもさ、翔。大野智の姉貴…」
「あっ」