第14章 1 Corinthians 13:4
「…あの頃のおまえは荒んでたよ」
ふかひれを豪快にレンゲに取ると、がぶりと潤は口に入れた。
「うめええ!やっぱここのふかひれ最高だな」
「ああ……」
あの頃って…高校生の頃のこと言ってんのかな。
たしかにあの頃は、暇があればヤりまくってた。
肉体の快楽を追求するのに忙しくて、内面的なものは丸無視してた気がする。
好きとか嫌いじゃなくて、ヤレるかヤレないか。
ただそれだけだった。
「初恋…」
「翔」
潤を見ると、また優しい笑顔を浮かべていた。
「せっかくのふかひれ冷めるぞ。食ってから考えたら?」
「…ああ」
なんだか、潤のそんな顔もくすぐったかったし、初恋っていうものを経験しているかもっていうのもくすぐったくて。
フカヒレの味はよくわからなくなった。
「あー食った食った。もうなんも食えねえ」
「そりゃ特大食ったんだから、腹一杯だろうよ…」
「おまえも食っただろ」
「食ったけど、さすがに飯のおかわりはしてないからな?」
「櫻井さん、ごちっす」
「ああ」
俺と潤は、二人で遊びに行くとどっちかのテリトリーになる事が多いから、支払いはそのテリトリーの人間がすることにしてる。
今日は俺のテリトリーの中華だから、俺が支払いになる。
「で?初恋の話ししに来たわけじゃないんだろ?」
そう水を向けると、眠そうだった潤の目がカッと開いた。