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*名探偵コナン*短編集*

第7章 *File7.*諸伏 高明*


「ふむ」

自分のベッドに、自分以外の誰かが眠っている。
なんてことは、もう随分と長いこと見ていない光景。
ましてや、現在のこの住まいでは一度たりともないこと。
不思議なものですね。
傍で見下ろす彼女の幼い寝顔に、こんなにも癒されるとは。
ウチに配属されてまもない頃、ふとした瞬間に愛しいと思ってしまった、彼女の存在。
普段の彼女の仕草や表情は可愛らしく、無邪気なようでいて警戒心は強く、責任感もある。
仕事中は頭の回転も早く、行動力もあり、情深くて。
時々、突拍子もなく無茶を仕出かしたりもするので、目を離すことが出来なくて。
上原さんのように彼女の存在も妹分だと思って疑わなかったのに、そうではなかったと、違う意味で自分自身に打ちのめされたのは、もう随分と前のこと。
仕事上、傍にいる時間が長い故の勘違い、錯覚、思い違いではないか?
と、暫く悶々と悩み悩んでいる最中に自覚した、 一度火が着いたこの想いは、この心の中で静かにゆっくりと日々を重ねて、粉雪のように降り積もり…。
ですが、そろそろ限界のようです。
アナタへの想いも。
アナタとのこの距離感も。
結婚だとか、言い寄るオトコだとか言うワードを聞いてしまったら、独占欲が抑えきれなくなる。
彼女はプライベートでのそんな素振りは、一切見せない。
良くも悪くも彼女の私生活を聞けるのは、上原さんから零れた言葉とか、こんな飲み会の時だけ。
後は、三人で強引に迫り無理矢理吐かせた時。

「やれやれ」

柔らかな前髪をソッと避けると、額にキスを一つ落とす。
今夜が吉と出るか、はたまた凶と出るか。
全ては、目覚めた彼女次第。
望月さん。
いえ、雪乃。
私は期待しても、よろしいですか?


「……」

帰宅後にしばらくして様子を見に、なるべく音を立てずに寝室のドアを開けば。

「お布団フワフワ~。シーツはサラサラ~。おまけにいい匂い~」
「!」

目が覚めたばかりなのか、うつ伏せになって枕に顔を埋めながら、膝から下をパタパタさせて。
まるで女子高生のような、幼く可愛らしいとしか言いようが無い、想定外の状況が視線の先にあった。
すっかり酔いが抜けてるらしいのには、安堵する。


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