第7章 *File7.*諸伏 高明*
「もう止められそうにありません」
「…何、が?」
「雪乃への想いを」
「!!」
「私は私自身が考えていた以上に、雪乃を愛しいと思っているようです」
「…ホントに?」
「ええ」
「ウソじゃ、ない?」
「はい。可愛いアナタに欲情し、私が今アナタに触れているのは現実ですよ、雪乃」
涙ぐんで濡れる瞳は、真っ直ぐに私の目を見つめる。
まるでそれは、この現実を確認するかのように。
私の真意を、見極めるかのように。
「信じては、いただけませんか?」
「夢でも幻でも、信じます」
「…何故です?」
「他の誰でもない。諸伏さん、アナタのコトバ、だから」
「!!」
瞳を細め、嬉しそうな表情。
「ずっと、憧れてるだけかと思ってました」
「…私を?」
「はい、イチ刑事として。でも、幼馴染の由衣と仲が良いのを見てたらモヤモヤして。周りの子達の諸伏さんの話を聞いてたら、イライラして。自覚した時には、由衣にビックリされました」
「何故、ですか?」
「今の今まで自覚がなかったの?って」
「なるほど。だから、私への態度に一線を引いていたのですか」
「やっぱり気づいていたんですね」
「敢助君相手だと、遠慮がありませんから」
「それは…初対面の時にそう言われたので」
気まずそうに、視線をそらす。
「これからは、私にも遠慮しないように」
「えっ?!」
「そこまで驚くことですか?先程ちゃんと良い返事をいただいたのですから、今はもう雪乃は私の恋人でしょう?」
「!!」
「私はアナタとの関係を隠すつもりはありませんよ。寧ろ、自慢したいぐらいです」
「……じ、自慢?」
「イチ刑事の前に、雪乃はとても魅力的で素敵な女性です。いい加減、自覚してください」
「??」
予想通りの反応。
アナタはアナタであって、そんなつもりはサラサラないと?
刑事の前に、仕事仲間ではなく、一人の女性として意識して見て欲しいと、その為には誰にでも媚を売るだとか、そういう女性特有の計算高い一面が一切ないのがまた、私を含む周りのオトコ達を魅き付けて止まない要素の一つなのは重々承知しています。
何時何処にいても、雪乃は雪乃で。
周りに流されることも振り回されることもなく、自分は自分だと言う、ありのままの自然体。
