第26章 木兎光太郎 大人になった僕達は
木兎さんがお手洗いに立ち上がって席を空けると
隣に他の選手の皆さんがやってきた
「花澄さーん!飲んでます?」
肩に手を回されて
その人と距離が近くなるとお酒の香りがした
『私お酒が弱くて‥ジュースを頂いております』
「じゃあこれ、オレンジジュース!どうぞ!一緒にのみましょー!お近づきになりたいでーす!」
『ありがとうございます!では‥頂きます!』
肩に手を回されたまま
手渡されたオレンジジュースを口にすると妙に身体が熱くなる
『‥?』
「ええ〜‥可愛い〜顔真っ赤じゃん‥」
アルコールを飲んだ時とおんなじような
頭がふわふわとする感覚
身体がさらに暑くなってきて
スーツの上着を横に脱ぎ捨てた
「花澄ちゃん大丈夫?なんかめっちゃ顔赤いけど」
『あつむさん‥だいじょうぶです‥』
「花澄さん?!大丈夫ですか?」
『ひなたくん‥ごめんね‥だいじょうぶだよ』
お酒は飲んでいないのに
力が入らなくなってきて
机にもたれかかっているとお手洗いから帰ってきた木兎さんが駆け寄ってきてくれる
そしてそのままジャージを羽織らせてくれると
力の入らない身体を支えて立ち上がらせてくれた
「帰ろ」
腰に手を回してしっかりと支えてくれると
私の耳元でこそっと囁いて歩き出す
ふわふわする身体を支えてもらいながらお店から出ようとした時
誰かに手首を掴まれる
「俺が送る」
「臣くんまで?!それに俺やって花澄ちゃん送りたいし!」
『あ‥あの‥えっと‥』
どうしようか返答に迷っていると
ふわりと身体が宙に浮いた
『〜っ?!』
「花澄ちゃんは俺が送るの!」
木兎さんが大きな声でそう叫ぶと
お姫様みたいに抱っこされたままお店の外に飛び出してしまった
『ぼくとさんっ‥わたしあるけますっ‥‥』
「‥」
選手に負荷をかけるわけにはいかないし
降ろしてもらうように何度も声をかけてみるけれども
木兎さんは難しい顔をしたまますたすたと早歩きをして全然降ろしてくれなかった
『ぼくとさん‥‥?』