第26章 木兎光太郎 大人になった僕達は
早めに設定した携帯のアラームが鳴り始めて
ゆっくりと目を開くと見慣れない天井
ふかふかのベッドに沈んだ身体
ふかふかの‥
ベッド?
上京してきたばかりでまだ家具を揃えられていない私の部屋にはベッドはない
「ん〜‥花澄ちゃん‥可愛すぎるってぇ‥‥」
『っ?!ぼ、木兎さん?!』
サラサラとおろされた銀色の髪の毛
一瞬誰だか分からなかったけどその声を聞いて一瞬で木兎さんだって気付いた
寝言を話していたようでまた規則正しい寝息が聞こえてきた
『えっと‥落ち着いて‥昨日‥月島君と木兎さんとご飯に行って‥それで‥』
お酒はとことん弱いから普段は絶対飲まないようにしてるんだけど
昨日は木兎さんが勧めてくれるまま飲んでしまって
それで‥
その先のことが全く思い出せない
『とりあえず‥起きなきゃ‥2日目から遅刻するわけにはいかないしっ‥』
ベッドからそろりと抜け出すと昨日着ていた服が横に置かれていて
見覚えのある梟谷の体操服を身に付けていた
「ん〜!!よく寝た‥って花澄ちゃんっ?!」
『わぁっ?!お‥おはようございますっ!!』
「そ‥そーだった!!夢かと思ったけど‥いた!!」
『あの‥私とても失礼な事を‥すみません‥昨日の記憶がなくって‥すぐに帰りますので、このお礼はまた近いうちに‥っ』
慌てて立ちあがろうとするとギュッと手首を握られる
「なんも失礼な事ないから!むしろ俺、超ラッキー!!だからまだ帰んないで」
『っ‥!』
握られた手首をギュッと引き寄せられると木兎さんの腕の中に抱き締められる
高校生の時よりさらに逞しくなった腕
おろされた髪は普段の木兎さんより少しだけ幼く見えるのに甘えるように上目遣いをしてくる目はとても大人っぽくてなんだかとってもドキドキしてしまう
『あの‥木兎さん‥?私一度家に帰ってお風呂に入ってから出勤するので‥』
「じゃあ俺ん家で入ればいいじゃん!向かうところは一緒なんだし!」
『えっ?!そんなっ‥これ以上ご迷惑をおかけするわけには‥』
「ね〜お願いっ!!迷惑じゃないし!俺がまだ一緒にいたいの!」