第26章 木兎光太郎 大人になった僕達は
月島side
今日は試合もなくてオフ
約束の時間よりも少し早く着いた
店の一番奥の個室
一応僕もプロだし
それくらいは気を遣って店を選んだつもりだ
なんとかして約束を取り付けた今日
どうにかいい雰囲気に持ち込めないかなんて考えてたのに‥
「後ろに守護霊のようについてるものはなんですか?」
ひょっこりと現れた花澄さんの後ろにしがみつくようにしているのは木兎さんだ
『月島くんおまたせ!それが‥月島くんとご飯行くって行ったらついていきたいって木兎さんが‥勝手にごめんね‥』
店員がチラチラとこちらをみる
木兎さんは有名だけど
男の店員の目線は花澄さんに注がれていた
高校の時も芸能界からスカウトがきていたほどだけど
大人になってからさらに‥色気も増して
昔からの想い人の相変わらずの姿に鼓動が早くなる
「ごめんツッキ〜2人きりでご飯行くなんて聞いたら気になるじゃん〜」
「はぁ‥それで泣きつかれたってわけですか?本当に花澄さんは押しに弱いと言うか優しすぎると言うかお人よしすぎるというか全く‥」
つい恨み言のようにブツブツと呟く
『月島くん‥ごめんね‥でも私と2人より久しぶりに木兎さんと会えた方が月島くんも楽しいかなと思って‥』
「いいですよ‥でも次こそは2人だけで食事する機会作ってくださいね?絶対にですよ?」
『う‥うんっ‥わかった!』
木兎さんに聞こえないように耳元で話すと少し顔があかくなった
「近いっ!!」
『わっ‥どうしましたか?』
「なんか2人の距離が近すぎるのが嫌だったの!」
そんな子供みたいな駄々を捏ねる木兎さんを優しい目で見ながらふっと微笑む
『木兎さんは本当に月島くんと仲が良いですね』
僕の想い人の天然度合いも相変わらずだった
ワイワイと騒がしい木兎さんとふわふわと笑う花澄さん
まるで昔に戻ったみたいでこれはこれで心地よい時間が流れていった
「ツッキーまたな〜!」
『月島くん‥またね‥』
へにゃりと笑う顔は今にも寝てしまいそうで
お酒に弱い花澄さんが木兎さんと共にタクシーに乗るのを見送る
本当はその役目は僕だったはずなのに