第2章 全てはここから。
山道を歩きながら、飛羽は腰の日輪刀をぽん、と叩いた。
「さて……初任務かぁ」
鎹鴉が鳴く。
「カァ! 近隣の村で行方不明者! 夜になると鬼が出る!」
「了解。ちゃっちゃと片付けますかね」
飛羽は欠伸をしながら歩く。
村へ着くと、怯えた村人たちが飛羽を見て驚いた。
「鬼殺隊……?」
「そ。新人だけどね」
飛羽はニッと笑う。
「酒でも飲んで待ってて。朝までには終わらせるから」
「酒飲むのか!?」
「……あたしの名前、何だと思ってんの?」
夜。
村が静まり返った頃、屋根の上から鬼が飛び降りてきた。
「見つけたァ……!」
飛羽は刀に手を掛ける。
「はいはい。こっちは仕事中なんでね」
鬼が爪を振り下ろす。
飛羽は身を低くしてかわし、そのまま懐へ潜り込む。
「――遅い!」
刀を抜く。
透明な峰が月明かりを透かし、刃先の緑が波打つように輝いた。
「なんだ、その刀ァ!?」
「さぁね」
飛羽は笑う。
「本人もよく分かってないんだわ」
鬼が怒り狂って襲いかかる。
飛羽は一歩、また一歩と攻撃をかわしていく。
呼吸は使わない。
まだ誰にも、自分の力を見せるつもりはなかった。
そして――
「そこ!」
一閃。
鬼の首が落ちる。
「……終わりっと」
朝日が昇り、鬼の身体が灰になっていく。
飛羽は刀を振り、鞘へ収めた。
「初任務、無事終了」
鎹鴉が鳴く。
「カァ! 任務完了!」
飛羽は空を見上げる。
「……兄貴、ちゃんと酒用意してるかな」
その頃、鋼鐵塚家では――。
「酒なんぞ飲ませるかァァァ!!」
蛍の怒鳴り声が山中に響いていた。