第7章 刀鍛冶の里へ…
翌日。
飛羽は里の森を歩いていると、遠くから激しい音が聞こえてきた。
「……何の音?」
木々の間からそっと覗く。
そこには――。
「うおおおおっ!」
炭治郎が縁壱零式へ斬りかかっていた。
六本の腕が同時に動き、炭治郎の刀を次々と弾き返す。
「くっ……!」
炭治郎は必死に食らいつく。
飛羽は思わず息を呑んだ。
「……やっぱり凄いな、縁壱零式」
昔、自分もここで何度も稽古をした。
動きを読めず、何度地面に転がされたか分からない。
「頑張れ、炭治郎……」
飛和は物陰から静かに見守る。
炭治郎は何度倒されても立ち上がる。
「まだ……!」
再び踏み込む。
縁壱零式の腕が迫る。
「そこ!」
炭治郎が身体を捻り、紙一重で攻撃をかわす。
「今のはいい!」
思わず飛羽が小さく声を漏らす。
しかし――。
「うわっ!」
炭治郎がまた吹き飛ばされた。
「……あちゃー」
飛羽は苦笑する。
「そう簡単にはいかないよね」
それでも炭治郎は立ち上がった。
「もう一度……!」
その姿を見て、飛羽は昔の自分を思い出す。
実弥に何度叩きのめされても、刀を握り直した日々。
「……頑張れ」
小さく呟く。
その時、炭治郎がこちらを振り向いた。
「……飛羽さん?」
「えっ」
目が合う。
「いつからそこに?」
「……さあ?」
飛羽は誤魔化すように笑った。
「ちょっと昔を思い出してただけ」
炭治郎も笑う。
「飛羽さんも、ここで稽古してたんですよね」
「うん。あたしも散々やられたよ」
「じゃあ……俺も負けられませんね!」
炭治郎は再び縁壱零式へ向き直る。
飛羽はその背中を見つめ、微笑んだ。
「……うん。その調子」
森の中に、再び刀と絡繰人形がぶつかる音が響き始めた。