第7章 刀鍛冶の里へ…
縁壱零式の前での緊張が落ち着くと、飛羽と炭治郎は里の一角で並んで腰を下ろしていた。
「それにしても、飛羽さんがここに来るなんて珍しいですね」
「そう?当たり前かもだけど、あたしの刀もここで鍛えてもらってるからね」
「そうだったんですね!」
炭治郎は嬉しそうに笑う。
しばらく他愛のない話をしていたが、ふと炭治郎が首を傾げた。
「そういえば……飛羽さんは、どうして刀鍛冶の里に?」
「ん?」
「俺は刀が折れてしまって……刀を作ってもらうために来たんですけど」
「ああ、それね」
飛羽は自分の刀に手を添える。
「今回、刀の調整もあるんだけど……あたしも任務で来たの」
「任務?」
「うん。それと――」
飛羽は少し照れくさそうに笑った。
「柱として、ね」
「…………え?」
炭治郎が固まる。
「柱……?」
「そう。あたし、柱になったんだよ」
「えええええ!?」
里中に炭治郎の声が響き渡る。
「ちょ、炭治郎! 声大きい!」
「す、すみません! でも飛羽さんが柱に!?」
「うん。ついこの間ね」
「すごいです! おめでとうございます!」
炭治郎は満面の笑みで頭を下げた。
「でも……飛羽さんなら納得です。遊郭でも凄かったですし!」
「ありがと」
飛羽は照れながら笑う。
「でも、柱になった途端、実弥がめちゃくちゃ怒ってね」
「不死川さんが?」
「『まだ早ェ!』って」
炭治郎は少し想像してから苦笑する。
「……なんとなく分かります」
「でしょ?」
二人は顔を見合わせて笑った。
その後も、二人はしばらく近況や任務の話をしていた。
鬼の気配など、まだ二人とも知る由もない。
刀鍛冶の里には、穏やかな時間が流れていた。
――この時までは。
やがて、その静けさを壊す存在が里へ忍び寄っていることを、二人はまだ知らなかった。