第5章 遊郭潜入!
「……待って」
飛羽は刀を握ったまま、目の前の妓夫太郎を睨む。
「これ……原作と違くない?」
「は?」
宇髄が怪訝そうに飛羽を見る。
「いや、こっちの話!」
飛羽は頭を抱えたい気持ちになった。
本来なら、ここで炭治郎たちが堕姫と戦い、宇髄が駆けつけるはずだった。
なのに――。
「なんであたしが堕姫の首を斬ってんのよ……!」
しかも善逸は攫われ、炭治郎たちとも離れている。
完全に予定外だ。
「ブツブツ言ってねェで構えろォ」
妓夫太郎の声に、飛羽は顔を上げる。
鎌が閃いた。
「ッ!」
飛羽は咄嗟に刀を立てて受ける。
――重い。
一撃だけで腕が痺れる。
「おいおい……」
宇髄が目を細める。
「こいつ、かなりやるぞ」
「分かってる!」
飛羽は後ろへ跳び、間合いを取る。
妓夫太郎はニヤリと笑った。
「妹の首を斬った女ァ……殺すのは最後にしてやるよ」
「……その余裕、後悔させるから」
飛羽は刀を握り直した。
実弥との稽古を思い出す。
――綺麗に斬ろうとするな。
――生き残るためなら、何でも使えェ。
「……実弥直伝」
腰を低く落とす。
「喧嘩殺法、もう一回いくよ!」
飛和が地面を蹴った。
妓夫太郎の鎌と、飛羽の刀が激しくぶつかる。
「ほォ……!」
妓夫太郎が笑う。
「面白ェ女だなァ!」
その隣では、堕姫が泣きながら兄を見つめている。
宇髄は二人の鬼を見据え、二本の刀を構えた。
「派手に行くぜェ」
飛羽は横目で宇髄を見る。
「宇髄さん……これ、絶対原作より大変になってるよね?」
「知るかァ!」
「ですよね!!」
こうして、本来とは違う形で――遊郭での死闘が始まった。