第5章 遊郭潜入!
「……見つけた」
飛羽は反射的に腰へ手を伸ばした。
鬼を斬るため、刀を抜こうとした――その瞬間。
「…………あ」
手が空を切った。
「…………刀、預けたんだった」
任務前、潜入のために刀をムキムキネズミへ預けていたのだ。
当然、刀だけではない。
鞘ごと全部ない。
「……あたし、何やってんの」
目の前の花魁が、ゆっくりと口元を吊り上げる。
「刀も持たずに来たのね」
「いやぁ……ちょっとした確認ミスで」
「ふふ……食べてあげる」
「それは遠慮します!!」
飛羽は即座に踵を返した。
「待ちなさい!」
鬼が追ってくる。
「くっそ……! 単独行動なんてするんじゃなかった!」
廊下を全力で駆け抜け、階段を飛び降りる。
その先に――。
「飛羽さん!?」
善逸がいた。
「善逸!」
「どこ行ってたんですか!?」
「鬼! 逃げるよ!」
「えぇ!?」
二人はそのまま店の裏手へ飛び出した。
すると、そこには炭治郎がいた。
「飛羽さん! 善逸!」
「炭治郎! 鬼がいる!」
「鬼!?」
さらに屋根の上から伊之助が飛び降りる。
「鬼だとォ!? どこだァ!!」
「伊之助、声が大きい!」
「飛羽さん、刀は!?」
炭治郎の問いに、飛和は気まずそうに答えた。
「……ムキムキネズミに預けてる」
「刀は!?」
「だから、ない」
「鞘も!?」
「ない」
三人が沈黙する。
「……」
「……」
「……」
「ごめん」
その直後、背後から凄まじい鬼の気配が膨れ上がった。
「来る!」
飛羽は拳を握り締める。
刀はない。
それでも――。
「三人とも、今は逃げるよ!」
「はい!」
「任せろ!」
「俺もぉぉ!?」
善逸の悲鳴を響かせながら、四人は夜の遊郭を駆け抜けた。
――そして、この逃走が思わぬ形で宇髄たちの捜索を進めることになる。