第5章 遊郭潜入!
「では…こちらのお嬢さんを」
店の主人らしき男が、飛羽をじろじろと眺める。
「顔立ちも悪くない。身体つきもしっかりしている。働き者になりそうだ」
「……どうも」
飛和は引きつった笑顔を浮かべる。
その横では、善逸が必死に店主へ訴えていた。
「待ってください!あたしも!買ってください!」
「お前は……」
店主は善逸を上から下まで眺める。
「……いらんな」
「なんで!?」
「騒がしそうだ」
「そんな理由!?」
飛羽は思わず吹き出した。
「善逸、諦めな」
「飛羽さぁぁん!?」
しかし、店主はしばらく飛羽を見たあと、ふと善逸へ視線を戻した。
「……まあいい」
「え?」
「この娘の“ついで”なら引き取ってやろう」
「つ、ついで!?」
善逸の顔が絶望に染まる。
「待ってください! お…あたしは飛羽さんのおまけじゃないですよ!?」
「うるさい」
「ひどい!!」
飛羽は肩を震わせながら笑う。
「よかったじゃん、善逸。あたしのついでで拾ってもらえて」
「全然よくない!!」
こうして。
飛羽と善逸は、まさかの同じ店へ売られることになった。
店の奥へ案内される途中、善逸が小声で飛和に囁く。
「……飛羽さん」
「ん?」
「俺、本当にここで働くんですか?」
「潜入捜査なんだから我慢しな」
「でも俺、女の子として売られたんですよ!?」
「今さらでしょ」
「今さらって何!?」
二人がそんなやり取りをしていると――。
「お前たち、騒ぐんじゃないよ」
店の者に睨まれ、二人は同時に口を閉じた。