第4章 機能回復訓練。そして…
「……煉獄さん……!」
飛羽は立ち上がろうとした。
しかし――
「ッ……!!」
全身を貫くような激痛に、身体が動かない。
魘夢との戦いで負った傷が限界を迎えていた。
「……まだ……戦わなきゃ……」
視界が滲む。
煉獄と猗窩座の戦いを見つめながら、飛羽は必死に手を伸ばした。
「煉獄……さん……」
指先から力が抜ける。
「……お願い……」
そこで、意識が途切れた。
――――。
「……ん……」
目を開けると、見慣れない天井。
「……ここ、どこ……?」
身体を起こそうとすると、全身に痛みが走る。
「動くんじゃねェ」
聞き覚えのある声。
「……実弥?」
ベッドの傍には、腕を組んだ実弥が座っていた。
「蝶屋敷だァ。お前は無限列車で重傷を負った」
飛羽はぼんやりと記憶を辿る。
「……煉獄さんは?」
実弥の表情が曇った。
「…………」
「実弥?」
「……助からなかった」
飛和の瞳が揺れる。
「……嘘」
「嘘じゃねェ」
実弥は静かに答えた。
「煉獄杏寿郎は……戦いの中で死んだ」
「……っ」
飛和の胸が締め付けられる。
「私……知ってたのに……」
「……」
「助けるって……決めてたのに……」
涙が頬を伝う。
実弥は何も言わず、ただ飛和の頭に手を置いた。
「……お前が生きて帰ってきた。それだけで十分だァ」
「……でも……」
「今は泣け」
実弥の声は、いつもよりずっと静かだった。
飛羽は堪えていた涙をこぼしながら、目を閉じた。
「……煉獄さん……」
その声だけが、静かな蝶屋敷に残った。