第15章 ダブリスの獣たち
エドワードくんは2、3日帰ってこない。
イズミさんたちは今ごろ心配しているだろう。
「兄貴はいつ頃戻ってくるんだ?」
「さぁ。わかりません」
グリードがどこかめんどくさそうに聞いてきたが、素直に教えるわけがないでしょう。
かと言って、いつ戻ってくるかわからない、というだけのことで、彼らもそう簡単に諦めることもないのだが。
さて、どうやってここから抜け出そうか。
アルフォンスくんの中にマーテルさんがいる時点で、詰んでいるんだけど。
どうにかしてイズミさんたちに連絡を取れたらいいんだけどな……。
ぐるぐると考えていると、グリードたちが何やらこそこそと話し合いをしている。
会話の内容を全て聞き取れたわけではないが、どうやらアルフォンスくんの記憶を自分たちで戻そう、ということだった。
彼らの話し合いを眺める中で、ふと思う。
目的は違う。
だけど、私たちもアルフォンスくんの記憶を取り戻したいという点では、私たちも同じだ。
「……あの」
気づいたら、口を開いていた。
私の声に、彼らの視線が集まる。
「催眠療法と言うものがあります」
「催眠療法?」
「簡単に言ってしまえば、催眠術です」
自分で言っていて怖くなる。
敵であろう人たちにこんなことを言うなんて。
「ただ、催眠療法でどこまで正確に記憶を取り戻すことができるかはわかりません。そういう話を聞いた事があるだけなので」
「………催眠術ねぇ。まぁ、試してみる価値はあるか」
「ただし、一つ約束していただけますか。それを守っていただけるなら、私も協力します」
「約束?」
「はい。アルフォンスくんに危害は加えないと、約束してください」
まっすぐグリードを見つめると、彼はどこか楽しそうににっと白い歯を見せて笑った。