第15章 ダブリスの獣たち
「俺の秘密は教えたぜ。さぁ、おまえの秘密を。魂の成り立ちを」
等価交換、か。
「喋った方がいいわよ。バラされて実験動物と同じ扱い受けたくないでしょ」
「……無理だよ。ボクにはこの身体になった時の記憶が無いし……」
「じゃあ、あんたが教えろ。こいつの姉ちゃんだろ」
「違います。私は彼らの護衛を任されている軍属の人間です」
「え?そうなの?てっきり姉ちゃんかと……。じゃあ、誰が錬成したんだ?」
「錬成してくれたのは他の人で、ボクは何ひとつ知らないんだ」
「じゃあその錬成してくれた奴だ。そいつに訊けばいい」
「ボクの兄さんだけど……、今は…………、……いない」
いや、言い方……。
アルフォンスくん、その言い方だと、まるでエドワードくんがもう死んでいるみたいなニュアンスに聞こえますよ。
「俺、悪い事訊いちゃった?」
「そりゃ、ナリはあれでも14歳の少年ですから……。ナイーブな所があるかと」
案の定、グリードやドルチェットさん達が集まってこそこそと話をしている。
全部聞こえてますよ。
「あーーーーーー、ご愁傷様っつーか、なんつーか。なぁ」
「元気出せ。なっ」
悪い人間ではあるんだろうけど、妙に義理堅いというか人情味があるせいで、そこまで悪い人間ではないのではないかと思ってしまう。
「あの、彼の言い方がすごくあれだったので、誤解させてしまったかもしれないのですが、彼の兄はちゃんと生きています」
「は……?生きてんの?」
「はい。ただ、今すぐに連れてくることはできません。諸事情があって、ダブリスにはいないので」
「んだよ、変に心配しちまったじゃねえか。でも、死んでねえならよかったな!!」
アルフォンスくんの肩を叩くグリードを見ると、やっぱりそこまでの悪人ではないのではないかと思ってしまう。
けど、ちゃんとアルフォンスくんを誘拐しているからなぁ。
どうしようもない悪人の方がすごくやりやすかった……。