第15章 ダブリスの獣たち
バキバキ、と音を立ててグリードの顔が再生されていく。
「これで一回死亡だ」
人は死んだら生き返らない。
それは、世の理で真理だ。
そのはずなのに……。
「こんな身体だが、不死身って訳じゃないんだな。ホムンクルスって知ってるだろ?人工的に造り出された人間。人ならざる人。今、おまえたちの目の前にいるのが"それ"だ」
ホムンクルス……?
錬金術における最大の禁忌だ。
その成功例が、こいつ……?
「ありえない!!ホムンクルスが成功したなんて話、聞いた事が無い!!」
アルフォンスくんの言う通りだ。
錬金術師は真理を追い求める生き物だ。
人体錬成が成功したのであれば、少しは文献が残っていてもいいはず。
だけど、そんなものは一つも見当たらない。
それに、ホムンクルスを造ることができるのであれば、なんで、なんで……。
兄は……、彼らの母親は………。
嫌な考えが頭の中を駆け巡る。
そんな私の思考など無視して、グリードは話し続ける。
「世の中にはな、陽の当らない裏の世界がある」
表の世界で生きている人間には想像もつかない事が陰の世界ではまかり通っている。
合成獣の彼らも表の世界に知られていないだけで、確かに存在して生きている、と。
「"ありえない"なんて事はありえない。おまえの存在がそれを証明してるだろ?魂だけの存在のおまえがよ」
裏を返せば、なんでもありえる、ということだ。
私の体温が異常に低いように。
アルフォンスくんが魂だけの存在であるように。
傍から見れば私たちも"ありえない"存在だ。