第15章 ダブリスの獣たち
間合いを取って遠距離から攻撃をする算段なのか、男はなかなか詰めようとしない。
少しでもアルフォンスくんに近づこうものなら、引き金を引くだけだが、できれば負傷者は出したくない。
互いに互いの動きを見ている状態が続いたが、それを破ったのはアルフォンスくんだった。
右手を大きく伸ばし、男の顔面を殴った。
彼の腕のリーチが長くて良かった。
怯んだところで彼を捕えよう、そう思った時だった。
刀の切っ先が鎧の頭と胴体の隙間に入り込み、そのままアルフォンスくんの頭は地面に転がった。
私はこれ以上危害が加えられないよう男の懐に入り込み、鳩尾を蹴り上げた。
壁際まで吹き飛んだ男の体をうつ伏せにし、後ろで腕を押さえこむ。
「すみません、アルフォンスくん。なにか縛るものは……」
ありませんか。
そう尋ねようとした私はその光景に目を見張った。
女性がアルフォンスくんの鎧の中に入っていた。
「うわわわわわわ!!なっ……中!?」
気持ち悪い、と叫んで暴れるアルフォンスくんだったが、次第にその動きは鈍くなっている。
中で、女の人が彼の身体を制御しているのだろうか。
そして、あっという間にアルフォンスくんはもう一人の仲間である大柄の男によって腕をねじ上げられ、そのまま地面に倒れた。
大柄の男の動きに私は驚きを隠せない。
なぜなら、その動きは私がこの男を押さえたときと同じものだったから。
まさか、彼は元軍の人間なのだろうか。
それがなぜ今……。