第15章 ダブリスの獣たち
「放っときゃそのまま死んでたこの身だ。合成獣だろーがなんだろーが、生き残った者の勝ち……。上出来の人生だろ」
ドルチェットさんはキセルを咥え、ゆっくりと煙を吐いた。
マーテルさんもロアさんも、人ならざる身体を持っていても、その身体で自分らしく生きていることに誇りを持っているように見える。
そんなこと考えたこともなかった。
みんな、"人間"として生きていくことが幸せなことだと思っていたから。
「元の身体に、戻りたいとは思わないんですか?」
「けっこう便利だからな、この身体」
私はもう、なにも言えなかった。
「前向きなんだね」
「前向きすぎてよ。クソつまんねー実験所を飛び出して来ちまった。ここは、そんなちょいと訳ありの表の世界じゃ生きて行けない奴らばっかりさ」
アルフォンスくんも人ならざる身体を持っている。
けれど彼は元の身体に戻りたいと願っている。
合成獣でもそれをよしとしている人間もいて。
それぞれだとはわかっている。
わかっているけど、腑に落ちないのはなぜだろう。