• テキストサイズ

【鋼の錬金術師】紅の幻影

第15章 ダブリスの獣たち









彼女は元軍人で、南部国境戦で大ケガをしたようで、半分死にかけていたところを軍の研究機関に運ばれて実験体にされた、と言う。

「軍が!?そんな実験をしていたなんて聞いたことがありません!!」
「あんたが知らなくても事実だ。軍の上層部が包み隠さず全て話すと思うか?」

ドルチェットさんの目がまっすぐに私を見る。
ぐっと息が詰まるのは、私自身が納得してしまったからだ。

「でも、そんな非人道的な実験を行っていたなんて……。もし、軍全体に漏れでもしたら……」

そこまで言って自分で口を抑えた。
まさかとは思うけど、研究内容を見てしまった、もしくは知ってしまった人は賢者の石の材料に……?
だからここまで誰にもバレずにいた……?

「軍に忠誠を誓っているのか知らねえけど、あんたが思っているほど軍は綺麗なもんじゃねえよ」
「……綺麗、だと思ったことはありませんが、やっていることがあまりにも……」
「何も知らないのね。あなた、軍人には向いていないんじゃない?今すぐやめて、もっと幸せな人生を歩んだら?」
「なぜ、あなたたちにそんなことを言われなきゃいけないんですか。それに、私の幸せなんかより自分たちのことをもっと考えて……」
「俺たちが不幸に見えるのか?」
「それは……!!」

無意識に眉間に皺が寄った。
合成獣にされて不幸、というのは私の主観で決めつけだ。
目の前の彼らからはそんなものは感じられない。

動揺を隠せない私にドルチェットさんは言った。
実験所にはたくさんの"失敗作"がいた。
だけど、その中で自分たちは"成功例"として生き延びた、と。






/ 470ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp