第15章 ダブリスの獣たち
大柄の男が力づくでアルフォンスくんを捉えようと近づいてくる。
私はアルフォンスくんの前に立ち、持っていた拳銃に手をかけようとした。
「さん、ごめんなさい!!」
「!!?」
急に体がふわりと浮いた。
アルフォンスくんに抱き上げられていると気づいた頃には、男たちの横を素通りし、廃工場の中へと逃げ込んでいた。
落とされないように必死にアルフォンスくんの身体にしがみつく。
アルフォンスくん曰く、相手を疲れさせ捕まえようという作戦らしい。
肉体疲労がないアルフォンスくんだからこそ思いつく戦法だ。
「それにしても、よく迷いなく走れますね」
建物の中を走り回るアルフォンスくん。
人は追いかけられると、大抵袋小路に入り追い詰められてしまうのだが、そんな様子は見受けられない。
「修業時代によくここで兄さんと鬼ごっこをしたんです。なつかしいなぁ」
「なるほど。だから建物の構造を知っていたんですね」
少しだけ開けた場所にたどり着くと、アルフォンスくんは私をそっと地面におろした。
頭をさげ「ありがとうございます」と言うと、向こうも「勝手にごめんなさい」と頭を下げた。
そしてお互いに顔を上げて、目が合うと自然と笑みを零していた。