第15章 ダブリスの獣たち
殴りかかろうとするエドワードくんをアルフォンスくんが止め、そして浮浪者の襟首をつかんだ。
「おじさん。いいかげんにしてよね」
普段、温厚なアルフォンスくんが怒るとちょっと怖いな。
でも、彼自身が一番傷ついているんだから怒って当たり前だ。
でなければ私が殴っていたところだ。
「わ……悪かったよ。ちょっと大人げ無かっ……」
瞬間。
浮浪者の服の下から何かが伸び、アルフォンスくんの頭を吹き飛ばした。
よく見るとそれは尻尾のように見える。
浮浪者はアルフォンスくんの鎧の中を確かめると、嬉しそうに笑ってその場から逃げ去った。
2人は「なにあれ」と呆然とした表情をしている。
もっと危機感を持った方がいいと助言するべきだろうか。
アルフォンスくんの中身が空っぽだということが一般人……と呼んでいいかはわからないが知られているんだ。
軍の上層部にバレるのも時間の問題かもしれない。
そうなると……。
いや、まだ決まったわけではない。
悪い方向へ考えるのはやめよう。
それより今一番に考えるべきは、彼がなんの目的で兄弟に近づいたか、だ。
調べることがまた一つ増えた。
明日はダブリス周辺で聞き込みでもしてみるか。