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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第15章 ダブリスの獣たち








私たちは時間を忘れて本を読むことに集中していた。
ふと、顔をあげると窓の外から見える空は真っ赤に染まっていた。

ああ、もう夕方なのか、早いな。

と、ぼんやりとしていた頭は、「夕方」という事実に一気に覚醒をする。
時計を見ると帰宅時間を大幅に過ぎていた。
慌てて、エドワードくんたちにそのことを伝え、私たちは急いで図書館を後にした。

「兄さん、本に集中すると時間を忘れるんだもんなー」
「おまえだってなぁ!」

軽い言い合いをする彼らは「近道をしよう」と路地裏へと入って行った。
土地勘がある彼らに付いていくしかない私は、少し後ろを走っていく。

「急いで帰らないと師匠に怒られちまうよ」
「………それは、少し、嫌ですね……」

想像の中でイズミさんに怒られてみたけど、実際彼女はこの100倍くらい怖い。
早く帰りたい。
そう思っている時ほど、なぜ邪魔が入るのか。
この現象をなんて呼ぶのか知らないけど、腹立たしさが通常より跳ね上がるからやめてほしい。

目の前にはボロボロの服を着た男性が物乞いをしていた。
フードを被っているから顔はわからないが、浮浪者であることは間違いない。

「あわれなあっしに恵んではくれませんか」
「うるせえ。働け」
「すみません。急いでいるので。またお会いしたら恵みます」

今はそれどころじゃない。
朝も大佐に怒られたばかりなんだ。
1日に二度も怒られるなんてたまったものじゃない。
それだと言うのに、浮浪者は後を追いかけて来る。





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