第15章 ダブリスの獣たち
兄弟たちは、早速図書館で催眠系のコーナーや暗示系のコーナーへ行き、本を一冊二冊と手に取っていく。
私は、生態系や医療系の本を手に取って調べていくが、どの本も東方図書館や中央図書館で見たものばかりだ。
やはり、文献だけとなると限界があるな。
軍の資料室に置いてあるわけもないし……。
置いてあったらこんな苦労していない。
やっぱり、生態系に詳しい人に聞くべきなんだろうけど……。
頭の中にタッカーさんの顔が浮かび、同時にニーナさんとアレキサンダーの顔も浮かんだ。
嫌なことを思い出してしまった。
胸の奥が酷く痛み、無意識にそこを押さえる。
タッカーさんはもういない。
それに、いたとしても話なんて聞きたくもない。
「やっぱり、マルコーさんに聞くべきかな」
人の命で賢者の石を作っていたとはいえ、その知識は豊富にあるし、何より彼は医者で錬金術師だ。
記憶を取り戻す方法を知ってるかもしれない。
…………いや、やめておこう。
彼は今、「マウロ」と言う名前で町医者として生きている。
こんなことで尋ねては、彼の居場所を軍に知られることになってしまう。
それは町の人も"マウロ先生"も望んでいない。
「がんばれ、私」
ぱちん、と両頬を軽く叩き気合を入れ直した。