第15章 ダブリスの獣たち
そして次の日。
私は大佐にこっぴどく叱られた。
長い間、なんの報告もしなかったこと、怪我をして入院をしたこと、他にもいろいろと取り上げられくどくどと小一時間叱られた。
耳が痛い。
『説教はここまでにして。・アールシャナ中尉』
先ほどとは打って変わり真面目な声色の大佐に、自然と背筋が伸びる。
改まって私の名前を呼ぶという事は何かあったんだろう。
『私と共に中央へ異動となった。付いてきてくれるな?』
まるで煽るような口ぶりの大佐に「何を今更」と答えた。
あなたに付いて行かないという選択肢を選ぶわけがないのに、それをわかっていて聞くんだからタチが悪い。
「そうしたら、一度司令部に戻ります。エルリック兄弟もしばらくはダブリスに滞在するようなので」
『いや。君はそのまま彼らの護衛に付いていたまえ。引っ越しやその他のことはこちらで引き受けよう』
「いや、それは流石に……」
『君のことだ。家には何も置いてやしないだろう』
「そう、ですけど……」
『彼らが問題を起こさないという確信があるのであれば、戻ってくればいい』
その言い方はずるくないですか。
問題を起こさないわけないでしょう。
だって、"あのエルリック兄弟"なんだから。
沈黙する私の耳に大佐の小さく笑う声が聞こえた。
どこまでお見通しなんだか。
「わかりました。ご迷惑をおかけしますが、そちらのことはお任せします」
『ああ。彼らのお守りは頼んだよ』
「はい。……あ、中央に異動になったことはヒューズさんは知っていますか?もし知らないのであれば……。大佐?どうかしましたか?」
ヒューズさんの名前を出した瞬間、さっきまで楽しそうに笑っていた大佐の声が聞こえなくなった。
どうしたんだろう、回線が悪くなったのかな。