第14章 鋼の錬金術師
「お二方。この後のご予定は?」
それ以上の質問は許さないと言わんばかりに、大佐が無理やり話を変えた。
正直ありがたい。
変に答えてボロが出るのだけは避けたかったから。
大佐もきっとそれをわかっていたから話を逸らしたんだろう。
「儂は視察を終えて手が空いたので、最年少国家錬金術師を見に来たのだ。つまりヒマだ」
「我輩も合格者の拝命証を届けに来ただけですので、中央に戻るまで時間があります」
ヒマなのかよ。
仕事しろよ。
「では、若い国家錬金術師の誕生を祝ってかるく一杯どうです?」
大佐は酒を飲むジェスチャーをしてみせた。
この国大丈夫かよ。
仕事中に酒とか、職務怠慢もいいところだろ。
大佐が、有事にそなえ取れる時に短時間で高カロリーがうんたらかんたらってたいそうな御託を並べていたけど、普通に酒が飲みてえだけだろ。
本当に大丈夫かよ、この国。
「東部内乱からイシュヴァール戦とひどい闘いがずっと続いたからな」
テーブルの上にグラスが3つ並び、ホークアイ中尉がウィスキーと書かれた酒瓶をそれらに注ぐ中、グラン准将がイシュヴァールの内乱で起きたことを少しだけ話してくれた。
「エドワードくんはジュースね」
「ありがとう」
オレの前にオレンジジュースが入ったマグカップが置かれる。
流石に酒はまだ飲めねえからな。
准将は、イシュヴァールで上官が流れ弾で死んだ事や、そのおかげで昇進することが出来たと語った。
あの内乱がどれほどのものだったかは知っているつもりだ。
ウィンリィの両親だってそこで死んだのだから。
「エドワード・エルリック」
准将の重く低い声がオレの名前を呼んだ。
「あの内乱のあと、軍の狗となった事に心を病み、資格を返上した術師が多くいた事は知っているか?」
「……知ってるよ」
「わかっているなら止めん。鋼の錬金術師に乾杯。あと、上官には敬語を使え」
「あいあい!」
カチン、とグラス同士ぶつけあった。