第14章 鋼の錬金術師
「面白い見せ物だったよ」
試験が終わり、中央司令部を出た時に大佐が厭味ったらしく言った。
「うるせーや。見物料取るぞ」
「はっはっは。いたずらとはいえ大総統に刃を向けて無事でいられた君は運がいい」
資格が取れれば軍属の人間になる。
大総統に対する忠誠心無しと見られればあっという間に資格を剥奪される。
気を付ける事だな。
大佐はそう言ったけど、オレはさっきの実技試験を思い出していた。
オレが大総統に向かって襲い掛かった時のことを。
「オレがあのおっさんに槍を向けた時……、大佐だけだっだぜ。微動だにしなかったの。とても忠誠心厚い部下とは思えねーな」
「……まいったな」
「大佐……。そういう時はポーズだけでもとるものです」
ホークアイ少尉が大きくため息を吐いた。
この人も苦労してるのかな、なんて思っていると大佐は「閣下を亡き者にしてくれたら上の席がひとつ空いたのにな」と、真面目な顔と声で言うもんだから、本気なのか冗談なのかよくわからず焦ってしまった。
「でもいい事聞いちゃったなー。上層部にチクってやろっかなー♪」
「はっはっは。鬼の首でも取ったつもりかね。首根をつかまれているのは君の方だ」
「あ?」
「"人を作るべからず"、"金を作るべからず"、"軍に忠誠を誓うべし"。国家資格を持つ者の三大制限だ。君達は不完全とはいえ人体錬成を行ったのだから、ばれればタダでは済むまい。君の弟はめずらしい錬成の例として、研究室送りになるかもな」
大佐は言った。
オレは過去を隠し、何事も無かった様に資格を受け取る。
大佐は有能な錬金術師を推挙した事で株が上がる、と。
「私が君の過去を口外しなければ全て丸くおさまるという訳だ。変な気をおこすなよ」
「てんめーーーっっ!!!」
「はっはっは。合格発表まで一週間ある。イーストシティに戻ったらゆっくりしていたまえ」
どこまでも汚ねえ野郎だ!!
このムカつきを誰にもぶつけられずに、オレはその場で地団駄を踏んだ。