第2章 実は男の子でした / 狗巻棘
「…ツナツナ」
そんななつの様子を見た彼はなつの肩をぽんぽんと叩いて湯船に出るように促す。
そして自分も湯船から出るとシャワーでお互いの身体に付いた泡を流すとなつに"まって"と口パクで伝えて先に浴室から出てバスタオルを2枚手に取って戻ってくる。
「こんぶ」
「あっ…ありがとう…」
お互いに身体を軽く拭くと彼はなつの手をきゅ、と優しく握って洗面台兼脱衣所を経由して外に繋がる屋外露天まで手を引いた。
扉を開けると外から少し冷たい風が吹いてくる。
「涼しー…」
のぼせかけていたなつにとっては冷たい風が涼しく感じた。
なつが涼しさに浸りながらタオルを巻き直していると先に湯船に腰まで浸かった彼が"おかかー?"と言ってなつを呼びかける。
「あっ、今行くね…!」
なつが彼の方を見てそう伝えるとにっ、と笑顔で返してくれる彼。
その可愛らしい笑顔にドキッとする。
湯船の縁にバスタオルを軽く畳んで置くと彼とパチッと目が合う。
すると彼は"となり"と口パクで伝えた。
「う、うん…」
ゆっくりと彼の隣に腰かける。
涼しい風と温かい湯がきもちいい。
「あ、あのね…わたし、男の子だって知らなくて…その…大丈夫…?」
「ツナツナ、こんぶ。しゃけ!」
「ええと…その…っ!」
なつには彼が何を言っているのか分からなかった。
困ったようにうーんと眉を歪めている姿を見た彼はくすくすと笑う。
そしてなつと密着するように座り直すとなつの頬にむに、と軽くキスをした。
「うわあああっ!?…も、ももも、もうお風呂出よう!」
「ツナツナ〜♪」
なつはビクリと大袈裟に跳ねると顔を焦ったようにバシャッと勢いよく立ち上がると半分逃げるようにバスタオルで身体を隠して部屋へ戻っていこうとする。
そんななつの姿を見て彼は待ってよ〜と言わんばかりに楽しそうに言うとなつの後を追ってバスタオルで身体を拭きながら部屋の中へ戻っていった。