第8章 サンドバッグちゃん2
そう思った瞬間。
「一」
「っは!!…げほっ!はっ…はっ…!」
カウントダウンが終わり首から手が離される。
呼吸が可能になり無意識的に沢山吸い込んでいく空気に耐えきれず咳き込むなつ。
「惜しかったなあ?」
前髪を掴み泣きながら息を荒らげているなつと目を合わせると眉根を下げて残念そうにニヤリと口角を上げながらそう言う男。
「あのまま飛ばしてやっても良かったんだがなあ…」
男が自身の後ろ帯に手をかけてしゅるりと解いた。
腰の位置に巻かれていた帯が緩まって着物が中途半端にはだけてその逞しい胸板と黒い呪印がちらりと顔を覗かせる。
「やはり反応が無くては面白くないだろう。…飛んでしまってはお前も楽しめないだろうしな」
「けほっ…や、やだ……しんじゃ、う…やだ…」
「はー…言ったろう、悪戯に殺さないと」
先程の感覚で恐怖感が増したなつは怯えた様子で覆いかぶさっている男からどうにか逃れようとする。
「戯言だな」
「お前は恐怖と苦痛を与えられないと満足できない欠落品だろう」
男はそう嘲笑しながら自らの帯を完全に取り払う。
着物を羽織っているだけ状態から見える男の逞しい裸体。