第8章 サンドバッグちゃん2
「今のは効いただろう」
今までで一番重い一撃だった。
なつは耐えきれず壁伝いにずるずると座り込み、だらしなく口を開いてはそこから涎をダラダラと垂らしながら呼吸をしようと悶え苦しんでいる。
「かは…あ"…ああ"…はっ…」
「おい。どうした」
「な"、んでも…ありまぜん…」
壁に爪を立てて必死に立ち上がろうとするなつ。
その様子を見ていた男が珍しく褒め言葉とも受け取れる言葉をなつの頭上に向けて言う。
「今晩は良く頑張っているな」
痛みと苦しみ、そして恐怖で立ち上がりたくても立ち上がれないなつの腕を引っ張り半ば強引に立ち上がらせる。
「今、何発目だ?」
「五発目…です…っう…」
先程と同じ質問。
なんとか自立したなつは再びぴったりと壁伝いにくっつきまっすぐ立つと恐怖と性的興奮と痛み苦しみが全て混ざってぐちゃぐちゃの状態で目にいっぱいの涙を溜め頬を赤らめながらぐずぐずと鼻を啜って上目遣いで男を見つめる。
「………」
男は黙ってしまった。
じっとなつを見つめたまま。
「気が変わった」
「……へ……?」
「サンドバッグとやらは気が向いたらやってやる。これから先は俺の思うままに抱かれていろ」
思わぬ言葉に間抜けな声を出してきょとんとするなつを他所に男はそう一言言うとなつを傍らに敷いてある布団へ突き飛ばした。