第8章 サンドバッグちゃん2
「今、何発目だ?」
そう問いかける男に寄りかかり荒い呼吸をしているなつ。
額には脂汗が浮き出てこめかみへと伝い、恐怖と痛みでガクガクと震えて今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
男に支えられて何とか立てている。
「よ、よん…はつめ…です…」
「聞こえんな、はっきり答えろと言っているだろう」
「…!ごめん、なさい…!」
男の冷たい声になつは焦りの色を見せ寄りかかっていた体を無理矢理起こしてもう一度壁伝いにぴたりと沿って立つ。
そして絞り出すようにして先程よりもはっきりと答える。
「四発目…です…」
「ああ、そうだったな」
次は五発目。またあの呼吸の出来ないほどの痛みが来る。
ぴたりと壁にくっついて立つなつのみぞおちに男の拳がそっと当てられる。
びくりと震えた。
「おい。まっすぐ立て」
「はい…ごめん、なさい…」
防衛本能からか、自然とお腹を守るように体を丸めてしまうなつだったが今回こそはと奮い立たせてもう一度まっすぐ立ち直る。
「良い心がけだ」
「あっ…ありが、とうござ、いっ」
男がその少し幼さの残る顔で無邪気に笑った。
なつが興奮と恐怖から来る荒い呼吸の合間に感謝の言葉を述べようとしたが言い終える前に男の拳が素早くみぞおちにめり込んだ。
「あ"っ…!!!!!」