第5章 ピンク色 前編
「お前はTシャツ1枚で下着すら身につけてないだろう」
「………あっ!」
なつがハッとして驚いたハムスターの様に固まっている間に彼はお酒のボトルが並んだガラスの棚から黒いボトルとグラスをひとつ手に持ってなつの隣に座ってきた。
「ちょ、まっ…わたしのパンツ!」
「…洗濯中。甘いものは好かんがお前のためだ、今日はとことん慰めてやる」
「…は…?」
彼はなつの手の中にあるグラスを取り上げてテーブルに置くと
トクトクトク…と自身の持ってきたグラスに注ぐ。可愛らしいピンク色の液体だ。
「え…?」
「テキーラローズ」
そう言うと彼はグラスに口付けその液体を口に含むとそのままなつの顎を少し強引に掴んで唇を重ねた。
「んっ…!?」
口移しでなつの口内に少しずつ注がれるピンク色の液体。
ーーーーーごくん。
勢いで飲み込んでしまった。
最初は甘いいちごミルクかと思った。
だが飲み込んだ直後にカーッと食道辺りが熱くなる。
「…あっま」
「………っえ…なに、して…」
彼はなつの反応を見て少し意地悪く笑う。
「言ったろう。慰めてやると」
もう一度彼の口に含まれるテキーラローズ。
重ねられる唇。流し込まれる甘い液体。
先程と同じくごくんと飲み込めば唇を離してくれるかと思いきやそのままぬるりと舌が侵入してきた。
「っふ…ぁ…」
一方的に絡んでくる舌。最初は身体を硬直させていたなつだがいつの間にか自分も彼の舌の動きに合わせて舌を絡ませてしまっていた。
長い。息が上手くできない。苦しいと彼の身体を押してもびくともしない。
むしろ腰に手を回して抱き寄せてくる。
カーッと熱くなる食道と再び回り始めるアルコール。
軽い酸欠も相まって頭がぼーっとしてくる。