第5章 ピンク色 前編
「宿儺は紅茶割り好きだね」
「適当」
そんな他愛のない会話を少しの間繰り返した。
すっかり酔いが回っているなつは笑ったりまた泣きそうになったりと感情をコロコロ変える。
そしてしばらくすると二人のグラスは空になる。
「ねえねえ…すくなあ…わたしふられちゃったんだよねえ…っ…」
「鬱陶しい。何度も聞いた。」
「わたし、そんなにかわいくない…?ダメな女かなあ…」
「はー…」
彼はなつのウザ絡みにうんざりした様子を見せながら手際良くグラスやシェイカー等を洗う。
そして軽く閉店準備を済ませ終わった彼は自分の貴重品となつのバッグを持ってふらつくなつの手首を掴んで店を出た。
「行くぞ」
「ふぁ…?」
「家」
短く伝えた彼はタクシーを捕まえるとなつを先に乗せてやり自分も乗車して運転手に自らの自宅へ向かうように伝えたのだった。