第3章 ブラックスパイダー
「ぁたっ…もう…ごめんって…」
そう謝るなつだが、ニヤニヤが止まらないでいる。
あーかっこいいなあ。やっぱり甘い香りが似合うなあ。
なんて思いながら不機嫌そうに煙草をふかす彼の横顔を見つめていた。
「………ふー……」
彼がふいに煙を吐き出しながらチラ、とこちらを見た。
「どうしたの?」
なつも彼の前にシャワーを済ませていた。
今日はいつもの自分の部屋着ではなく彼のTシャツを1枚借りて着て彼の傍に座っている。
Tシャツ越しにでも分かる。ノーブラだ。
今は体制的に見えていないが下も履いていない。
本当にTシャツを1枚着ているだけ。
これもまた、わざとだった。
恥ずかしくて言葉で誘えないなつはこうして彼が察してくれるのを待っていたのだ。
「……ん」
彼がくわえ煙草をしながら近づいてきた。
髪から滴り落ちた水滴がなつの太ももに垂れた。
「っめた…すくな…?」
「…下心丸出しだな、分かりやすすぎる」
「…えっ!…へへ…ばれちゃったかあ…」
流石。なつの考えに対してはなんでもお見通しの彼だ。
恥ずかしかったけど嬉しかった。
顔を赤くしてへにゃあと顔を緩ませて照れ笑いしているなつの顔にわざとらしく煙を吐き出してきた。
「!…っけほけほ…」
「誘いに乗ってやらなくもないが…まずは…」
一旦なつから離れるとテーブルの灰皿にぐりぐりと煙草を押し付けて火を消すと煙草とライターと共に布団の傍に置いた。