第1章 船旅と出会い
程なくして、薄暗い雲に覆われ雨粒がポツポツと落ちてきた。
甲板に出ていた船員や志望者達も慌てて船内に入っていく。
「すごいな!ゴンの言った通りだね」
「へへ、いつも海で遊んでたから。オレたちも中に入ろう!」
「そうしよう。試験前にずぶ濡れなんてごめんだよ」
中に入ると、木箱や袋が積まれた大部屋に志願者たちが適当に寝転んだり座り込んでいた。
思ったより広い空間だけど、ゴンの予想ではかなり大きい嵐がくると言ってた。波が荒れるということは船の揺れもすごいはずだ。
「?シキ、入らないの?」
「私たちは廊下にいようかな。閉め切られた空間は苦手なんだ。ゴンは平気なら入ってて」
「わかった!」
部屋に入っていくゴンを見送り、少し離れた所に腰を下ろした。
外では既に激しい雷雨が船を襲っているのだろう。痛々しいような雨音が船内に響いている。
船も先程までの安定とはうってかわって上下左右に揺れる揺れる。船は初めてだけど自分は船酔いする質では無いらしい。
むしろこの揺れが丁度よく眠りに誘ってくる。
「リツ…背中貸してぇ」
さっきゴンと会う前は眠たかったし、リツの背中ふわふわで最高…。
*
「なんだ、てめぇの主人もダウンしてんのか」
「グルルルル…」
「そう睨むなよ。ま、こんなんでダウンしてるんだったらお前の主人も不合格だな」
「…シキ様は寝ておられるだけだ」
「は?」「ん〜…?ふわぁぁあ。あ、船長さんおはよーです」
話し声で目を覚ますと、うすらぼんやりの視界には船長が立っていた。
どこかに置いてきたのか酒瓶は持っていない。
「シキ様お目覚めですね」
「あれ、リツが人前で喋るの珍しいねぇ」
「なんだお前の犬っころ魔獣だったのか」
「まぁそんな感じです。もう着くんですか?」
「いーやまだだ。志願者たちの様子を見にきたんだが」
船長が部屋の扉を開けると、中ではみっともなく床に突っ伏していたり木箱にもたれかかって気分悪そうにしている奴で溢れていた。
中に入っていたら、コイツらと肩を寄せあっていたかもしれない。外にいて本当に良かった。ナイス判断だ私。
「こんなんでハンター試験受けようってんだから全く笑わせやがるぜ。なぁ?」
「ほんとですね。あ、でも」