第10章 行軍
どこに向かうかなど私に分かる筈はない。ケフカ様だってもし来たことがあったにせよ、敵対国なのだから相当前の筈だ。それにいつも研究所に詰めっぱなしなのにそんな時間はなかった筈。
やがて見上げる程の城壁を前にケフカ様は立ち止まった、城だ。今から戦争が始まるというこんな時期に何の警戒もなく敵陣のど真ん中を眺めるなんて気が知れない。
そうしていると当たり前のように兵士に声をかけられた。
「おい、そこのお前たち!」
緊張に身を固くした私をわざとらしく見やり、気遣うような仕草をしてみせた後ケフカ様は勿体振って答えた。
「なにか?」
「……、こんな時間に城まで来て何を見ている。用はない筈だろう。怪しまれたくないなら即刻立ち去りなさい」