第10章 行軍
「うん、良い顔になった……」
ニヤりと笑みを作ると満足そうに頷き、ようやく化粧道具をとりに行く。目覚めてからまだあまり日は経っていないがケフカ様がおかしくなってからこんなやりとりはなかった。
……ご機嫌だ、それが妙に引っ掛かっていた。軍を率いていた時間もレオ将軍を毛嫌いしている筈なのに機嫌は悪くなかった。……何故?
そんな考えをよそにケフカ様が優しく筆を顔にのせた。まるで絵画でも描くように丹念に繊細な手つきで私の顔に色が乗せられて行くのが分かる。
最後に髪に手を加えられるとまるで貴婦人かなにかのように品のある装いになっていた。
「相変わらず凄い」
「マ、私にかかればこんなものです。さて……良い感じに日が落ちてきたようだ。今からちょっとした魔法を使うが俺の手を離すなよ」
ケフカ様がテントにかかる夕日の色に目を細めるとランプに灯りを入れる。そしてバニシュが唱えられると二人の姿が夕日と共に闇に溶けた。