第10章 行軍
私は何も言えずに沈黙を貫いた。それは記憶にある人への些細な罪悪感であり、ケフカ様の中で私のこの気持ちは無いものだと安心させたかったのもあり、しかし適切な返答が思いつく事はなかった。
帝国陣の塀代わりにアーマーが並べられ、いくつかは作業リフトのように使われている。そして先に急ごしらえの指令室、レオ将軍とケフカ様のテントが張られた。
「じき日が落ちる、今のうちに支度するぞ。」
「えっ、でも何も用意なんて……」
「……お前、僕ちんが戦いに何か持ってきた事あるか?よく考えろよ」
ケフカ様のテントには使われない剣の装備一式以外、普段は家具程度しか置かれない。しかし今日はやたらと荷物が置かれていた。
「わ……、沢山持ってきましたね。女物ばかりやたらとある……」
「気が乗らないか?……フム、じゃあこうしましょう。私とのデートに来ていく服を選びなさい」
デート。その言葉にぎょっとしてそちらを見るも普段と同じニヤケ面だ。散歩って……敵陣に行くのに……でも、これって……デートなの?