第20章 インターハイ 宮城県予選 1日目
菅原side
覆い被さった花澄ちゃんからは相変わらず良い香りがする
それを堪能する前に大地に引っ剥がされたけど
「そんな真っ青な顔して何を言い出すのかと思えば‥」
頭にハテナを浮かべた花澄ちゃんの手を引きながら
やれやれと大地と前を向いて歩き出す
「〜っ‥昨日だって最後のインターハイを前に3年で星空を見ながら静かに語らいつつ 士気を高める感じになると思ってたらあっさり帰りやがって」
「士気は花澄と清水のサプライズで120%だろ」
大地が昨日花澄ちゃんにもらったお守りを握りしめながら振り返る
「うん‥まぁ‥うんっ‥そうだけどっ‥」
同じお守りを旭もギュッと握りしめながら
俺たちの横に並ぶように追いついてきた
もちろんそのお守りは
俺もカバンにつけている
昨日は嬉しくて
家に帰ってからしばらく眺めてはもらった手紙を読んで
繰り返し余韻に浸っていた
「俺たちは今日一回戦も二回戦も勝って二日目に進むんだから 今しんみりした話なんかしなくたっていいっ」
「かと言って明日しんみりした話する訳じゃないからな 明日も勝つんだから ねー?花澄ちゃん?」
『ふふっ‥そうですね!明日もその先も、勝ちますもんね!』
「目の前の試合全部勝つ!今はそんだけ考える!」
大地と花澄ちゃんの横顔は清々しくて
眩しくて
空を見つめるように上を向いた2人につられて顔を上げる
「‥おお!」
「頼りにしてんだからな!エース!!」
「!」
大地がトンと胸に拳をぶつけると
旭の瞳にはじわりと涙が溢れ出してくる
「あぁ‥」
『烏野のエースですもんね!』
「っ!!」
にっこりとまるで向日葵みたいに眩しい笑顔
今度は顔を真っ赤にして固まった
「大地が優しいとなんか怖いな‥それに花澄ちゃんはいつにも増して可愛すぎ!!今から他校の前にその姿を晒さないといけないのにっ‥どうにかして隠れててくんない?」
『えっ?!』
「うんうん‥大地がこんなに優しいとは‥‥なんか降るかもな‥んで花澄ちゃんは本当に気をつけてね?」