第20章 インターハイ 宮城県予選 1日目
靴紐をキュッと強く結んで
ジャージを羽織って立ち上がる
『よしっ‥‥‥行ってきます!』
「行ってらっしゃい!!また会場でな!大地に宜しく!」
『うんっ!じゃあね!』
ドアを開けて外へ出ると
真っ青に澄み渡った空が広がっていた
気持ちのいい朝だ
胸いっぱいに空気を吸い込んでゆっくりと吐き出すと
聞き慣れた声が聞こえてきた
「花澄」
『大地!おはよう!』
「おはよ」
いつもみたいに
バッグを斜めにかけて軽く手を上げる大地に駆け寄って歩き出す
『お兄ちゃんが大地に宜しくって』
「今日見に来てくれるんだよな?相変わらず目立つんだろうなぁ」
『おっきいもんね』
「それだけじゃないけどな」
『え?そうなの?』
「花澄も‥一番目立つんだから気をつけなさいよ」
『えー?!私は小さいし選手じゃないから一番目立たないよ?』
「天然鈍感兄妹め‥」
『‥?』
いつものように他愛もない会話をして歩くけど
お互いに程よい緊張感が漂っているのが分かる
無意識に背筋が伸びる
そしていつもの十字路に差し掛かった時
ちょうど同じタイミングで左右から旭さんと菅原さんが現れた
『あっ!』
「「「あ」」」
3人の声が重なって
オースと挨拶すると
「「おはよう」」
『おはようございます!』
旭さんと菅原さんがにこりと私に笑いかけてくれて
そして4人とも無言のまま歩き出す
「‥‥なぁ いよいよ最「「しゃべるな」」
「はァ!?」
『?』
旭さんが話し出そうとした途端に大地と菅原さんがその言葉を遮った
「お前絶対センチメンタルな事言うつもりだろ」
真剣な顔で大地が言うと
菅原さんはニヤリと笑う
「いよいよ最後のインターハイだな‥とかなんとか」
「〜っ!!」
「そういう会話ってなんか死亡フラグっぽいからダメ!!な?花澄ちゃん」
『わぁっ?!』
「なんだよ!?いいじゃんか!!てか花澄ちゃんを巻き込むなっ‥」
ずしっと肩に感じる重み
菅原さんが私のうしろから覆い被さりながらバツマークを腕で作っている